自己破産 自由財産

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自己破産における「自由財産」とは?

「破産手続」は、破産者の資産をすべて掻き集めて現金化し、それを債権者に平等に分配することを目的とするものです。
ですので、自己破産においては,財産の処分が必要となってきます。

 

しかし、すべての資産をお金に換えなければならないかというと、そうではありません。
すべての財産を没収されてしまうと生活が出来なくなり、免責を許可した意味がなくなりますし、債務者の経済的更生を図るという破産法の目的にも反することになります。

 

そこで、自己破産をしても処分しなくてよい財産が法律で認められていて、これを破産後も破産者が自由にできるという意味で、「自由財産」と言います。

 

「自由財産」とは、破産財団に帰属せず、破産手続開始決定後でも債権者が差し押さえることができず、破産者が自由に管理、処分することができる財産です。

 

新破産法では、破産者の経済生活の再生を容易にするため、旧破産法と比較して、破産者が自由に管理・処分できる、この「自由財産」の範囲を大幅に拡大しています。
「自由財産」については破産法第34条3項に定められています。

 

基本的には、以下のものについては、法律によって差し押さえできないことになっています。

 

  • 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具
  • 農業、漁業、技術者・職入・労務などを営む債務者のために、その業務に欠くことのできない器具
  • まだ公表していない発明または著作に係る物
  • 子供の学用品、義手・義足などの身体の補足に供するもの
  • 法令の規定により設備しなければならない消防用の機械または器具、避難器具
  • その他、実印や、礼拝または祭礼に直接供するため欠くことができない仏像や位牌
  • 系譜や日記や商業帳簿などの書類
  • 勲章その他の名誉を表章する物

 

またこの他にも、上記法定「自由財産」以外の財産であっても、実務において「自由財産」範囲拡張基準によって、「自由財産」と認められ、差押されない財産もあります。

 

裁判所によって取り扱いが異なる場合もありますが、不動産、自動車、預貯金、保険解約返戻金予定額、過払い金請求権、株式、給与の4分の1相当分、退職金の4分の1相当分、退職金予定額の8分の1相当分などについて、個別資産ごとの評価額が20万円未満の財産は「自由財産」として認められています。

 

自由財産についての具体的な内容

具体的には次のようなものがあります。

 

  • 99万円までの現金
  • 残高が20万円以下の預貯金(複数口ある場合は合計額)
  • 見込み額が20万円以下の生命保険解約返戻金
  • 処分見込み額(時価)が20万円以下の自動車
  • 支給見込み額の8分の1相当額が20万円以下である退職金
  • 電話加入権・居住用家屋の敷金債権

 

現金と預貯金の取扱

現金については、弁護士費用、管財費用等を払った後の金額で、99万円まで残してもいいということになります。

 

「現金」は、あくまでも「お札・硬貨で所持しているお金」のことで、貯金・預金とは別の扱いとなります。
預貯金の場合、「20万円を超えた」部分は自由財産にはなりません。
現金は99万円以下・預貯金の場合は20万円以下というのはややこしく、自己破産申立直前に現金化した場合は、自由財産と認められないこともあるようです。
裁判所によっては、預金も現金として扱っている場合もあるようです。

 

退職金は法律上「給与の後払い」と理解される

給与は原則4分の3が差し押さえ禁止財産ですので、強制執行でも原則4分の1までしか差し押さえできません。
ですので、退職していて、申立の際にまだ退職金を受け取っていない場合には、退職金の4分の1を破産財団に組み込まれることになりますが、本来受け取れるはずの額の4分の3の退職金は受け取れることになります。

 

自己破産したことに関しては、自分で言わない限りは会社にバレることはありませんが、退職金の計算書を裁判所に提出するので、これを会社に申請すればばれてしまいます。
よって会社の退職金規定のコピーを提出する方法もあるようです。

 

ただし、破産者は破産手続きの時点では退職していない場合は、将来懲戒免職になる可能性もあり、退職金は必ず支払われるものではありません。
そこで、東京の裁判所では8分の1までを破産財団に組み入れる扱いがなされています。

 

退職していない場合、そのまま会社勤めを続けた場合に受け取ると考えられる退職金見込額の8分の1を原則として破産財団に組み込みますが、8分の1の金額が20万円以下である場合には、「自由財産」として認められます。
8分の1の金額が20万円を超える場合には所有財産として支払わなければなりません。
ただし、この場合、将来退職金が下りた場合はそのまま受け取れることになります。

 

ですので、実際に裁判所から債権者に分配するように言われるのは、将来の退職金支給予定額が基本的には160万円以上になる場合になります。
退職金の取り扱いは裁判所によっても多少違いはあるようですが、多くの意見では160万円を超えなければ債権者に配当されることはないようです。

 

また、自己破産申立の前に、既に退職金が支給されていた場合には、お金や貯金として換算される場合もあります。
この場合は現金99万円以上の現金、もしくは20万円を超える預貯金があれば、退職している場合には、破産財団に組み込みます。

 

 

破産後に得た給料、所得は自由財産になる

また、破産者が、「破産手続き開始決定後」に取得した財産は自由財産となりますので、破産手続き開始決定後に取得した給料はもちろん自由財産です。

 

ちなみに「破産手続開始時」に破産者が保有していた財産でも、破産手続開始決定後に、破産者の申立、または裁判官の職権によって、自由財産の範囲が拡張される場合もある半面、自由財産拡張基準以外のものに関しては、かなり厳しい判断がなされる場合もあります。

 

裁判所によって、判断についての幅がある以上、自己破産の事案について実績のある弁護士にお願いするのが、とりあえずは得策と言えることになります。

 

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