自己破産 同時廃止 管財事件

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自己破産「同時廃止」と「管財事件」の分かれ目

「破産手続」とは、破産申立人の資産を集めて換価し、債権者へ借金額に応じて平等に配当することを目的とするものです。

 

破産手続きの方法には、「破産管財人」による方法と、「同時廃止」と呼ばれる方法と、2つの方法があります。
通常の破産手続きは、通常裁判所が選任した「破産管財人」を介して行われます。これを「管財事件」と呼びます。

 

管財事件として扱われる場合には、裁判所は「破産開始決定」を下すときに、管財人を選任します。
「管財人」は、破産者の財産を調査して換価するのですが、20万円未満の財産は「自由財産」といって、破産者が持つことができます。
また、20万円を超える財産がある場合でも、99万円までなら「自由財産拡張」の申立をして、裁判官がそれを認めれば財産を換価しなくていい場合もあります。
99万円を超えると思われる資産については、管財人によって「管理・調査・評価・換価・処分」が行われることになります。

 

破産者の意思ではなく、破産者の持っている資産によって分かれる

しかし、個人の自己破産の場合、資産を持っていることは稀で、お金に換えて債権者に配当することのできる資産を持たない場合がほとんどです。

 

このような場合、破産法では、

裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない(法第216条)

と規定されています。

 

債権者に配当する資産がないと、「破産管財人」を選任する必要がない訳ですから、裁判所は「破産管財人」を選任しないで、破産手続を廃止します。

 

この破産廃止の決定は、破産開始の決定と同時になされるので、「同時廃止」という呼び方がなされています。

 

「破産開始決定」と同時に「破産廃止決定」が出た後は、「免責許可」の手続へ移行します。

 

「免責許可」の手続とは、期間を定めて債権者から免責に関する意見を申し出る機会を与えられ、特に意見がなければ、裁判官が「免責許可決定」を行うことをいいます。

 

「免責許可決定」がなされて官報に公告され、2週間が経過すると「免責許可決定」の効力が「確定」し、債務の支払い義務が免除されることになります。

 

管財手続に入ると、破産者への郵便物が管財人に転送されて、中身をチェックされてしまうことになります。
管財手続中は、引っ越しや旅行、出張などで住所を離れる際には裁判所の許可が必要になります。

 

同時廃止に比べ、管財事件には、こうした煩わしさや、手続き期間の長さや手間が付きまといます。

 

また、管財手続は、裁判所に対して費用がかかります。
申立裁判所や事件の内容によって異なってきますが、個人の自己破産の場合、少額管財事件で最低でも20万円、管財事件では最低でも50万円が必要になります。
この点、同時廃止では3万円程度で終わります。

 

管財事件になると、同時廃止に比べ、費用もはるかに掛かることになります。

 

 

「同時廃止」と「管財事件」のかかる費用の差

 

同時廃止に持ち込めるか、管財事件として取り扱われるかによって、手間や費用に差が生まれます。

 

管財事件としての扱いになれば破産管財人がつき、20〜50万円の予納金が発生します。
費用もかかるだけはなく、裁判期間も同時廃止として扱われるより長くなり、その間管財人による郵便物のチェックや引っ越しや旅行には裁判所の許可が必要になりますし、債権者集会に出席などの拘束も生じます。
またこの集会などが行われる分、最終免責決定までの期間が長くなり、6カ月〜場合によっては1年以上かかることがあります。

 

同時廃止の場合、自己破産の手続は、申立をしてから3〜4か月程度で終了し、その後免責の決定がなされます。
特に、弁護士を代理人として自己破産を申し立てる場合には、申立をした当日に裁判官面接を行い、同時廃止とされる運用(即日面接)が東京地裁ではなされています。
この場合には、自己破産の申立から免責まですべて終了するまでにかかる期間は、およそ4〜6か月程度ということになります。

 

「同時廃止事件」になるか「管財事件」になるかは、資産価値として20万円以上の財産を所有しているかしているかどうかで判断されます。
明らかに多くの資産を持つ場合はともかくとして、わずかに99万円を超える現金を持つ場合や、わずかに20万円を超える預貯金を持つようないわゆる「小規模管財事件」の場合には、何としても同時廃止に持ち込みたいと思うのが破産者側の思いになります。

 

費用が多くかかる管財事件。どうしても同時廃止にして安くしたい場合は?

こうした場合、自己破産に詳しい弁護士を代理人として立てることにより、本来は少額管財事件として扱われるものを、同時廃止に持ち込んでもらえる場合もあります。

 

例としては、100万円を超える生命保険の解約返戻金があるのにもかかわらず、本人が重い病に罹っていて、なおかつ他の家族全員が既に自己破産による免責を受けていて、本人に対して経済的援助ができないことなど理由に、同時廃止に持ち込めたという事案があります。

 

また、99万円を超える現金が手元にある場合や、生命保険の解約返戻金が20万円を超えるような場合にも、生活費や自己破産を申し立てるための弁護士への依頼費用のような合理的な理由がある支払に充てて、自己破産申立時点で所持金を99万円以下に抑えたり、解約返戻金などの財産を20万円以下に抑えたりすることで、同時廃止にしてもらうことが可能です。

 

債務者が不動産を所有している場合には、原則として、同時廃止とはならず、管財事件として処理されるのが通常ですが、その不動産に評価額のおよそ1.5倍の抵当権が設定されていることから、同時廃止事件としての扱いが認められた例もあります。

 

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